❇️片暉の残照❇️
第7章 穏やかな日々と子守唄
「上手じゃないか――――」
「貴方が――――凄く上手いよの!こんなにスムーズに…素敵に踊れたのは初めてだわ!ありがとう――――商人って、ダンスも嗜むものなのね…奥深いわ!」
彼は困ったように笑うと、正午の鐘に「ハッ」と、我に返る!
「ヤバい――――…早く戻らないと…アイツに怒られる!テイス様、今日も楽しかったです――――ありがとう」
そう言うと、彼は慌てて裏口に消えていった!
「――――あっ、えっ!」
彼を引き止めようとしたが、名前を知らないことに今更ながら気がつく!
「――――また…会える……わよね?」
私も、正午の鐘がなりやむ前に――――屋敷へと入った。