❇️片暉の残照❇️
第7章 穏やかな日々と子守唄
――――…
「ロミ――――…何処へ行っていた?探したぞ!」
王宮の廊下で眉間にシワを寄せたメルトが俺を見つけ小走りに向かってくる。
「気分転換に散歩だ――――しかし、お前の所の庭師は仕事が早くないか?裏庭がすっかり冬支度されていた」
「は?また――――勝手に我が家に行ったのか?俺の家なら護衛がつかなくても大丈夫だとは言ったが…そんなに頻繁に我が家に出入りしていたら…怪しまれるぞ?」
メルトは昔からの大親友で俺が彼の屋敷へと無断で言っても、そう気にもしなかったのだが――――最近…彼の家の事情が変わり…無断で行くのを渋りだした。
「あ…あそこには///年頃の妹がいる――――…お前と変な噂が立ったら!良い縁談も来ないではないか!」
しかも、その“年頃の妹”を…溺愛しているのが…むず痒いほど見てとれる。
「そう、思うなら――――早く紹介してくれよ!」
「は!?テイスはまだ!成祝前だ――――!紹介なんぞ出来るか!」
紹介も何も――――すでに出会い…さっきは彼女の歌で…一緒にワルツまで踊ってしまったのだが……、怖いから黙っておこう。
突然――――バラの公爵と呼ばれるハジロ公の娘となった……濃い黄金色の髪色の――――天真爛漫で少し世間知らずな少女。
ハジロ公爵の庇護下だとしても――――…あの濃い黄金色の髪だ…社交界デビューしたら…前王弟派閥の奴等に目を付けられるかもしれない――――。
たとえ――――片目に傷があるとしても…彼等は、それすらも使い…彼女を自分達の王座争いに巻き込むかもしれない。