❇️片暉の残照❇️
第8章 成祝の義とスノーフェアリー
「テイス――――待ってて…そちらへ行くから!」
――――ヤバい…
誰にも見せてはダメだと――――お母さんに言われたのに…
つい――――油断してしまった…
お兄様の声に……安心してしまった。
あぁ――――…もう…
「テイス――――…テイス…大丈夫かい?」
その場で動けないでいる私の部屋をこっそり訪れたお兄様は、バルコニーでうずくまる私に声をかけた。
「ごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさい」
私はバルコニーでへたり込み…左目を押さえ謝った。
「謝らないで――――…それより…寒いだろ…中に入りなさい…」
震える私をお兄様はそっと抱き上げ――――部屋の中へと移動した。
そして、窓を閉めると…月明かりの入る窓辺にそっとおろした。