❇️片暉の残照❇️
第8章 成祝の義とスノーフェアリー
私は必死に自分の顔を隠した!
少しの間だけでいい…
お母さんの見ていた世界を見たら――――あの山に帰ろう…
当初はそう…思っていたのに…。
ハジロ公爵家に迎えられ、こんなにも大事にされ――――…欲が出てしまった。
お母さんが死んでから2年…
あの山で一人で住んでいた――――…あの時は寂しいなんて思わなかったけど…
今――――一人で…あの山に帰るのは
寂しい――――寂しい…
「――――もう、一人は…嫌だ…よぉ…///もう…一人は…寂しいよぉ」
「テイス――――…大丈夫…大丈夫だ…、捨てるなんてしない!お前は――――俺の可愛い妹なんだから!」
「お兄様――――…お兄様…でも…でも…私は…皆に…この目を隠して――――…」
私は、気持ちが悪いその瞳を押さえながらお兄様を見上げる…
「――――やっぱり…テイス…月明かりで…自分の瞳を見たことはあるかい?」
私は頭を横にフル。
山にいた時は、お母さんに言われ、早く寝ることを習慣にしていた。
月を見ても――――自分の顔を改めて鏡に写すことなどあえてはしなかった。
「――――夜は…獣が出るから早く寝るようにしてました」
お兄様は私を抱き抱えると――――月明かりが反射する鏡の前に私を連れていく――――。