❇️片暉の残照❇️
第9章 城下町と嫉妬の炎
「今回は、公爵令嬢として訪問するのですから――――あんな事にはならないと思いますよ……って、前回も公爵令嬢として行ったんでしたね…」
「へへへ…気を付けます――――…」
あの時の二人の青ざめた顔を思い出すと――――とても申し訳なく思う。
「さぁ、もう少しで着きます――――…」
馬車は順調に進み、おしゃべりをしていたらあっという間に着いた。
「今回は――――どこにでもお供しますからね!」
ニコルが気合いをいれると、キロもグッと背筋を伸ばした。
なんとも頼りになる二人で私は安心する。
まっ、そんなに厄介事が何度も起きるとは思っていない私は足取りも軽やかに馬車から降りた。