
❇️片暉の残照❇️
第2章 ハジロ公爵邸
「やっと――――…一人になれた…」
私は部屋を見渡し…さっきとは違う緊張感でガチガチになる。
「――――ひ、広い…」
そう、広いのだ…通された部屋は客室だろうか…私の住んでいた小屋よりも広さがあった。
ベッドにソファ――――…高級であろう家具達が心地いい距離や間で配置され、大きな窓には美しいカーテンが高い天井から床まで延びていた。
「お、お掃除が……大変そう…」
高価な品々を前にして…私は汚したり壊しそうで一歩も動けない。
しかし、疲れている…休みたい――――…どうしようと、考えていると…自宅から持ち出した鞄がベッドの横にちょこんと置いてあるのが見えた。
そ~っと、荷物に近づきやっとホッとしながら床にペタリと座った。
「――――お、落ち着かない…どうしよう」
場違いな場所に来た――――…少しだが後悔した。
母の故郷や母のバラを見たら…満足だ、いつでもあの家に帰えれるようにしておこう。
「――――これから…どうなるんだろう…」
不安で私は身を縮め…床に横になった。
