❇️片暉の残照❇️
第11章 奇跡の王
「髪は――――また伸びるから…そんなに悔やまないで?それに…短いのも似合うでしょ?」
雑に切られボサボサな頭ではあるが私は短い髪をヒョイッとつまみ上げた。
「テイス様――――…ありがとうございます」
キロは私の手を繋いだまま見つめ、憑き物が取れたように微笑んだ。
「次は――――次こそは…テイス様を守ります!」
「キロ――――ありがとう」
キロの顔色がよくなると…心配していたニコルの表情もやっと柔らかくなった。
「そうだ――――…商人の…えっと…ロミは?ここって、ロミのお家なのよね?挨拶しないと!」
私は、二人にロミに挨拶がしたいと申し出た!
「え――――!テイス様…?ロミ様と面識がございましたか?」
「やだなぁ~ニコルったら、ここ城下町の商人屋敷じゃないの?立派なお部屋だけど…貴族を相手にしている商売なだけあるわね!へへへ――――高級品ばかりで緊張してきたわ!」