❇️片暉の残照❇️
第11章 奇跡の王
役員の声かけを軽くあしらうお兄様に「凄い!」と、尊敬の眼差しを向ける。
「さぁ、もう少しで公務室につくよ」
階段を上がり、奥の部屋に向かうにつれ徐々に警備の数が増えていく。
「メルト様――――お疲れ様です」
「メルト様お疲れ様です」
階段の前にも廊下にも――――…はたまた、扉の間にも…って、警備の兵士多くないですか?
確かに、王宮でも高位の方々が出入りする階と公務室で警備に気合いが入るのはしょうがないが…。
「テイス、見事に渋い顔をするね――――この警備の数はしょうがない!テイスも、そのうち慣れるよ」
「お兄様――――私はそんなに長居はしない予定です…慣れませんよ…多分」
警備の兵士が頭を下げる度にビクビクする私の手を握るお兄様は「確かに!」と、笑ってくれた。