❇️片暉の残照❇️
第11章 奇跡の王
すると、一際警備が厳重な空間に入る。
「ふ…普段からこんなに兵を配置しているのですか?大変ですね」
奥の扉の前、入室の足止めのように兵が部屋を守っている!
「いや――――普段はこんなに兵は置いていない……けど…」
「メルト様――――おかえりなさいませ」
扉の前に構えていた兵の一人が前に進み、お兄様へ頭を下げる。
「どうした――――何事か?」
「はい、ただいまロミ様の元に王がいらっしゃり――――…」
王様付きの護衛も部屋の前を固めていた――――と、言うことが分かり厳重なのだとわかった。
「王が!?――――珍しいですね…何かありましたか?」
お兄様は、慌てたように部屋に入ろうとするも――――…私が一緒だったことを思いだし、戸惑う。
「あっ、大丈夫です!ここで待っています!急ぎの用だと困りますから、お兄様はお部屋に!」
「すまない!――――すぐに戻るから待ってておくれ?」
と、お兄様は護衛の兵をくぐり抜け部屋に入っていった。