❇️片暉の残照❇️
第11章 奇跡の王
「///あ…ありがとうございます――――。あっ、えっと…私……テイス・ハジロと申します」
私はサッと令嬢らしく挨拶をすると、お兄様とロミ様に手を引かれソファまでエスコートされる。
「やぁ、なんとも可愛らしい妹さんだねメルト」
「はい!自慢の妹でございます」
お兄様も、王様相手だと丁寧な口調である。
「で、叔父様は――――体調がいいからって、散歩ですか?散歩ができるなら書類公務を俺に回さずやってください!」
ロミ様はさすが…王位継承者第一位だけあってか、王様と随分と対等に話していた。
「いやいや、面目ない…いつもすまないねロミ。
そうだ――――テイス、髪のこと…聞きました。辛かったですね……無駄に長い私の髪を分けてあげたいところですが…男の、ましてや中年オヤジの髪なんぞもらっても…気持ち悪いでだけですね///ハハハ」
私の短くなった髪を気遣ってか、王様は自分の綺麗な長い髪を肩から前に掴み笑って見せた。
王様の髪はストレートの綺麗な黄金色!瞳も濃い黄金色でまるで宝石のような人である。
お顔立ちも華やかで、身長も高くスラリと伸びた手足もスタイルのよさが際立って見えた。
「///――――お気遣いありがとうございます。でも、短い髪も私には似合っていると思います。そちらのニコルが切り揃えてくれました。手先が器用なので///この眼帯もさっきリメイクしてくれたんですよ!」
私は、ベールに隠れていた眼帯もチラリと見せた。
「おや――――ベールと同じ素材のレールだね。違和感なく眼帯をカバーしていて…本当に上手だ――――って、その眼帯は武人用だね…その素材…痛くないかい?」
キロも言っていたが、武人用の眼帯は素材が固く、止血や傷口保護の概念から密着するような作りになっている。