❇️片暉の残照❇️
第11章 奇跡の王
「叔父はね――――“奇跡の王”って言われているんだよ?」
「奇跡の…王…?」
ロミもお茶を飲みながら、ふぅ――――と、息を吐きリラックスしたのか優しい表情で王様を見て呟く。
「フフフ、身内から言われるとむず痒いが…そんな風に言われていたね…過大評価だと私は思うけど……国民がその奇跡を信じたいと言うならそう言うことにしてもかまわない」
王様は手にした紅茶を見つめ少し悲しそうに笑った。
「私はね――――、前王の後継者として生まれたが体が弱くてね…、しかも王位の争いが加熱していた時代に出来た完璧な黄金色の子でね、何度か命も狙われたんだ…」
命を狙われ――――と、聞き不安が過る。
命を取られたわけではないが…髪を切られると言う出来事に直面していた私は少し怖くなった。
すると、お兄様とロミ様が私の側にスッと近寄り支える。
「怖がらなくても大丈夫だよ、今は――――…一部の王族が…騒がしいけど、昔のようにあからさまに危ないってことはないから…多分……フフフ…」
私の顔色を見てか、王様はフォローを入れるが、ロミ様がキッと王様に目配せしていた。