❇️片暉の残照❇️
第11章 奇跡の王
その様子にフッと眉を動かし王様は話を続けた。
「何度か――――…毒を盛られて…昏睡状態になったこともあったんだが…なんとか復活して命拾いをしているって話し――――ラッキーが重なり、私はこうやって生きている訳だが!」
「お体が弱いのに…凄いですね――――」
「そ、それが国中に広間って、叔父は“奇跡の人”なんて呼ばれるようになって…王位を継いだ3年前からは“奇跡の王”って呼び方も変わったんだ」
「お恥ずかしい――――…私を助けてくれたのは、医師や解毒剤を作った者たちだし、それに使われた薬草を栽培していた人々だよ」
王様はそう言うと、胸に飾られた“ティアラ”のバラをそっと撫でた。
「あっ、そのバラ――――お父様のバラ」
王様は「そうだったね!」と、嬉しそうにバラを胸から取り出すと私の目の前に差し出した。
「立派な“大輪”だよね――――…///私の宝物だよ」
“宝物”とは大げさだと思ったが、王様が好むとして有名なバラの“ティアラ”だ、そんな風に言っていてもおかしくはない。