❇️片暉の残照❇️
第13章 初めての晩餐会
「恐れ入ります――――、ハジロ公爵家令嬢のテイス様でしょうか?」
丁寧な言い方――――聞きやすい声のトーンとテンポ…
私はその執事の声に「うゎ~」と、感動を覚え見上げた。
「は、はい!えっと――――…」
私はソファから立ち上がると挨拶をし、再び声のいい執事を見つめた。
その執事は、ニコリと笑うと胸に手を置き私に頭を下げた。
猫っ毛の伸ばしかけの髪が彼が動く度にフワフワと動き――――つい目で追いかけてしまった。
「失礼を承知でお声をかけさせていただきました。我が主が是非――――…テイス様に挨拶をしたいと言っておりまして…」
挨拶と聞いて「はい!こちらこそ――――」と、彼の周りを見ても…“主”らしき方がいない……。