❇️片暉の残照❇️
第3章 不思議な娘
温室に行くと――――、庭師がすでに水を撒いたのか…
少し、涼しく清々しい香りが温室に止まっていた。
「うわぁ――――…ハーブの香りとバラの香りが…ちょうどよく混ざりあい…癒されますね」
「本当ね。――――あ、この香り…リラックス効果があるのよ?バラの香りと重なっても…効果は薄れないみたいで…///面白いわね!」
私は、先日植えたハーブの香りに目を輝かせた。
「テイスお嬢様は、前のお住まいでもハーブを育ててらしたのですか?」
ニコルの質問に少し戸惑う。
――――裏の森に自生していたなんて…言えないしなぁ…。
「そ、そうですね――――沢山育てていました…」
森に生えていたハーブを摘んで料理に使ったり、お茶にしていたなんて…
口が避けても言えない。