❇️片暉の残照❇️
第14章 赤い魔の手
「――――では、後はよろしく」
俺は晩餐会に戻るため…男に大量の報酬を渡し――――…テラスで別れた。
「では、また――――」
男もテラスから下に降りると――――…夜の闇に消えていった。
「二度と――――会いたくない」
テラスの扉を閉めると…やっと暖かい場所に戻れたことに安堵しつつ――――…主を探す。
「――――…」
しかし、すぐに見つけ出しゆっくりと…主とは逆の方に歩き出す…が…
俺は両腕を捕まれ――――その場から動けなくなる。
「――――なんですか?放してください…」
「お前だな……ハジロ公爵令嬢の髪を切るように…あの男に依頼したのは…」
無言で――――視線だけを会場に向けると…見覚えのある男がスタッフの姿で俺を見ていた。
――――謀られた…?
「では――――…テラスでの事は…」
「一部始終…見ていた」
「――――そうですか…」
では、何を言っても――――ダメなんだろうと…悟る。