❇️片暉の残照❇️
第14章 赤い魔の手
「アレが…演技だというなら――――彼女は…令嬢など辞めて…女優になった方がいい…」
知っていて、俺の誘いを無垢な少女の様に受け入れ――――…テラスまで来たのか?
しかも…あの場で毒の入った飲み物でも進められていたら…どうする気だったんだ?
しかし、若い執事が首を絞められていたときのあの顔は…本当に怖がっていたし…
必死に止めに入っていた――――…。
あれは…演技じゃなかった!
演技と本音が入り交じる……彼女の本当の行動や仕草だった!
「――――…賊の者が…テイス嬢を気絶させ…テラスから下に落としたんだぞ…、下の賊が受け損なっていたら…どうなっていたか知れないのに…」
「まぁな…賊が何人手引きされ待機していたのか分からなかったから……。その場で危害を与えないと判断し、最後まで犯行を結構させたが……まさか――――テラスから落とすとは思わなかったよ」
テイス嬢もだが…サンドラ様は――――何を考えていたんだ!?
「もし…あそこで俺がナイフを取り出していたら…テイス嬢は…どうするつもりだったんだ?」