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❇️片暉の残照❇️

第14章 赤い魔の手


「――――俺は…失敗…したんですね」


「ああ――――…いや…ある意味…成功はしたんじゃないか?」



――――は?また…意味の分からないことを…



「お前は――――単独で動いた…お前の後ろに…黒幕はいない……数時間前まで使えていたコレジバ公爵も令嬢のインギル嬢も…“お前は辞めた者で我々とは全く関係ない”…との事だ…」



――――“関係ない”



そうだ――――そうだ…俺は主を守るため…願いを叶えるために…



主の元を――――去ったのだから…




「――――ええ…俺の単独です…黒幕なんて…存在しない……」



明日になれば…主は俺のことなど忘れて…生きていくのだろう…


「――――それで…いいのか?」


「・・・・・」



それでいい――――…それで…



なのに――――…脱力した俺は…


うつむき…答えることが出来なかった。




俺を――――



忘れないで…



俺を――――――――…見て…



俺を――――




あ…ぃ………して――――欲しかった…













「――――貴族なんて…滅んで…しまえばいいんだ…」






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