❇️片暉の残照❇️
第15章 涙の夜
「テイス様――――…危なすぎます!私は…反対です!今すぐ、会場を出ましょう!」
「ありがとうニコル、でも――――…ここで逃げても…予期せぬ日に違う形で襲われる可能性だってあるのよ?それに、私だけを襲うなら…私に接触して…場所を移すだろうし――――他の人を巻き込まずにすむ…」
「それでも!」
「大丈夫――――…キロとは離れないから…」
そう言うテイス様はキロを見つめニッコリ笑った。
「テイス――――様…」
キロも頼られたことが嬉しかったのか、拳を胸元に押し付け軽く頭を下げた。
「でっ…でも!」
「ニコル――――…心配なのは分かるわ…私も…怖いもの…
でも、何度も襲われる未来に怯えるくらいなら…ここで…解放された方が…良くない?
それに、今ならサンドラ様の護衛や従者様たちがフォローしてくれるのよ!こんな機会逃すなんてもったいない!」
怖い――――と、言うテイス様の手は震えていた…でも…瞳は揺らがず…凛と私を見据えている!