❇️片暉の残照❇️
第16章 子守唄とバラの秘密
そっと抱えると…テイスがうっすらと目を開けた。
「ん~…へへへ…ん~…おとぅ…さん?」
寝ぼけて自分のことを“お父さん”と呼ぶテイスの顔を見て――――…更なる衝撃をポルギは受ける!
「ひと…瞳が――――…」
うっすら開けられすぐに閉じられた瞳だったが…ポルギはハッキリと見た――――…
黄金に輝く…左目と…月明かりに照らされ際立つように金に光る…右目を…
「右目が――――金に…?でも…昼間や…室内では…薄い緑の……え――――…?」
何かの見間違いだったのでは?と、抱えるテイスの顔を覗き見るが……
テイスは深い眠りに入ったのか、起きることはなかった。
しかも――――…左目は完全なる…黄金色の瞳だった…
毎日…王の濃い黄金色の瞳を見ているポルギである――――…心臓が痛いくらい鼓動を打つ…
「―――…左目は怪我があると言っていたが…無い…
もしや、オットアイを隠すため…の?」
だとしたら…この黄金色の瞳は――――…
と、ポルギはテイスをベッドに寝かせながら…目の前の子供に鳥肌を立てる――――。
「――――まさか…まさ……か?」
ポルギは震える足にグッと力を入れ――――テイスの部屋をあとにした。