❇️片暉の残照❇️
第18章 疑念の春
ニコルは厨房に向かい、私とキロはベンチに向かった。
「ロミ様――――…また、抜け出してきたんですか?お兄様に怒られますよ?」
近づく足音が聞こえていたのか、ロミ様はゆっくりと振り返り頬笑む。
「テイス――――…おはよう」
「おはようございます」
朝の挨拶を交わすと、ロミ様はベンチの空いている席を私に差し出す。
「お隣いいですか?」
「どうぞ、どうぞ――――…フフフ、君の家のベンチだよ?」
「先客は優先しないと」
私はへへへと笑うと、ロミ様の途なりに座った。
キロはそっと私たちから距離をとり周りを警戒しながら見守る。