❇️片暉の残照❇️
第18章 疑念の春
「テイス様、お茶の準備ができました――――」
「あっ、来た!ロミ様――――暖かいお茶でもいかがですか?温かくなってきたとはいえ、木陰は少し寒いでしょ?」
お茶の準備が出来たらしく、ニコルが声をかけてくれた。
「ハハハ!こんなにまったりしていたら、本格的にメルトに怒られちゃうな」
「なら、お兄様もお誘いします?」
スッと目線を庭の奥に移すと、そこには呆れた顔のお兄様が腕組みをしてロミ様を睨んでいた。
「お兄様――――ロミ様と一緒に、少しの間私のワガママに付き合っては下さいませんか?」
お茶の用意されているガーデンスペースに二人を案内すると、「少しだけだぞ」と、お兄様は渋々了承してくれた。