❇️片暉の残照❇️
第18章 疑念の春
「まったく――――ロミは目を離すとすぐにいなくなる!
従者も連れずに、まったく!」
席に着くなりお兄様はロミ様に小言をぶつける。
「ここの庭なら従者も無しでもいいって言ったのはメルトだぞ?」
「それは!俺も一緒に行く前提だからだ!」
お兄様とロミ様は相変わらず仲がいいのか、会話が途切れない!
掛け合い?と言うのか――――二人の口からは、ポンポンと言葉が出てきてはキャッチボールをしているように弾んでいる。
時々――――刺々しい時もあるけど…。
「――――ん、珍しい…テイスかミルクティを手にしてる…」
掛け合いをしていたのに――――…ニコルが私の前にミルクティを置くと、お兄様は会話変えた!
「ん?寒かったから…じゃないのか?」
ロミ様は私が牛の乳が苦手って知らなかったらしくて…「暖まるからいいんじゃないか?」と、自分もミルクティをニコルに頼んでいた。