❇️片暉の残照❇️
第18章 疑念の春
「レンティス王の意見も聞きたいから――――後回しにしているけど…。
知らぬところで…解体の依頼が先回りで職人にわたっていたらしい…でも、“急ぎ方や横暴な態度”に不振を持った職人が申告してくれて工事は止められたが――――。明らかに誰かが“王母宮”を急いで作りたがっているのが分かるな――――」
「誰かって――――義母しか考えられないだろ?もしくは、義母の父…ルトキ伯爵だろうなぁ」
二人は目を会わせるとグッと言葉を飲み込んだ。
ルトキ伯爵――――…
ロミの義母であるレミの父親だが、コレジバ領で3分の1の領土を任され、更にルトキ領内はゴルドガ国1のカジノ発展地である。
今では、コレジバ公爵の影に隠れながらも――――…財力、権力を握っているとも言われていた。
発言力はコレジバ公爵家、ハジロ公爵家、ミュトロン公爵家、クロード公爵家、ニホノ公爵家の五公に続いて6番目だが――――…裏では2、3番手…だと言われている。
「ルトキ領のカジノ――――…貴族も王族も…あそこで金と何かを失い…言いなりになるって噂だけど……真相はどうなんだろうな」