❇️片暉の残照❇️
第19章 赤と青の欲望
しかし、苦言を言おうものなら…母の罵声と癇癪テーブルの菓子のいくつかはコーテルに飛んでくる…。
成人し…兄と親しくするようになったコーテルに苛立ちをぶつける事が多くなっていたからだ…。
しかも、妹であるネールは兄のその姿を見下しながら扇子で顔を隠し笑うだろう…。
使用人や執事はその行為を止めることもせずに傍観するしまつ――――…
そんな未来が予測出来る今、コーテルは言葉を呑み込み…当初の用事を告げる。
「お母様――――許嫁リストですが……お兄様のリストから何人か私のリストにご令嬢が移動している気がするのですが、ご覧になりましたか?」
手にしたリストをレミに見せると、レミは受けとる事もせず「あ~…」と、乾いた返事をする。
「時期王はロミで間違いないと思うのだけど――――…政権はすぐに移るかも知れないでしょ?」
レミの言っている事が理解できず思考を巡らせていると――――…
「レンティス王って身体弱いのだから……ロミお兄様も病に倒れる可能性がある――――って、お祖父様が言ってたよ?」
と、妹のネールがぬるくなった紅茶を乾燥して形が崩れたカップケーキに溢すと…不味そうにふやけた姿を笑っていた。
「――――いや…ロミお兄様は健康で…すが…」
「お兄様はお馬鹿なの?“もしも”の話よ――――…でも、何が起こるか分からないでしょ?」