
❇️片暉の残照❇️
第19章 赤と青の欲望
父の部屋を出たインギルは晩餐会で見かけたコーテルの事を思い出す。
強欲王弟妃の息子――――…コーテル。
評判は悪いが大好きなサンドラ様と同様王位継続第二位の子供…。
成人したばかりのお子さまだった!
黄金色の髪と――――王弟妃譲りの青い瞳…
見た目は申し分ないが…子供過ぎる!
逞しい男性が好みのインギルは理想の男性サンドラとの結婚を夢に見て生きてきた!
あの逞しい腕…胸板…小尻からの長い足――――…
あの鋭い瞳で見つめられながら、長い指で…長く旬を保つ果実を収穫してほしい――――…。
インギルはサンドラとの結婚生活――――特に夜の生活を考えては両足を擦り合わせた。
「――――ロンドを呼ん……」
体の火照りを納めようといつものように相手の名を呼んでハッとする…
「そうだった――――もう、居ないんだったわ…ハーパーでいいわ…ハーパーを呼んでちょうだい!」
ロンドの代わりに最近インギルに使える事となった執事であるハーパーを呼び出した。
メイドはその呼び出しに空気を読んで部屋を出ていった。
