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❇️片暉の残照❇️

第19章 赤と青の欲望


「話を聞くわ――――、ほらコーテルもネールもお部屋お行きなさい。ネールはちゃんとお肌のお手入れしてから寝るのよ」


「はぁ~い!お母様」


「・・・・・」



柔らかく母の顔を見せたレミの横顔にコーテルは素直に返事ができなかった。


それに、なぜ―――…


先の事は分からない理由に…


二つも例を上げたのか――――…


コーテルは、執事を連れ応接間に向かうレミの後ろ姿を見つめ――――…先ほどから引けない腕の鳥肌を押さえた。



「フフフ――――お兄様、久しぶりにお母様に優しい言葉をかけていただいて喜んでいらっしゃるの?」


「は?喜んでなどいない!」


ネールは兄の顔を覗き込み笑う。


「お母様が言っていたわ、小さい頃はコーテルお兄様も可愛かった…って、今は反抗期で可愛くない!ロミ兄様になつくなんて…誤算も良いところ…王色に慈悲などかけるんじゃなかった――――って…今日もお芝居を見ながら嘆いていたわ」



「は?どういう意味?」


コーテルはネールの言葉に疑問しかなかった。


「私が知るわけないでしょ?―――コーテルお兄様は可愛くないなくなったって、言ってるだけだわ!」



“可愛くない”は、分かっていた――――…しかし、


“王色に、慈悲”?



それが――――コーテルの喉に引っ掛かり…飲み込めないでいた。



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