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❇️片暉の残照❇️

第19章 赤と青の欲望


王宮前の大きな門――――…よりも手前の馬車通路の入り口でサンドラは一向に中に入れない状況にイライラしていた。



「車門番――――早く中に入れなさい!私を誰だと思っているの!?サンドラ様の妻となるインギル・コレジバ公爵令嬢ですよ!」


「はい――――存じております…しかし、“侯爵家”の立ち入りは出来ない決まりとなっております」


インギルは頭を下げる車門番の言葉にイライラしていた。


「は?高位貴族のコレジバ公爵家よ!入れなさい!」



馬車の窓から門番を見下ろし苛立ちを見せるインギルに門番はひたすら入車を拒む――――。


インギルは“公爵”と“侯爵”の発音の違いにピンと来ていないようだった。



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