❇️片暉の残照❇️
第20章 母のバラ
「お母様――――お父様、お兄様は?」
私を抱き締めるお母様の後ろにはお父様の姿しかなく、私は不安で心臓が痛くなった。
「火災の方角が王宮だったから…急いでロミ様の元へ向かった――――…しかし、火元は植物園だと報告がさっきあったから…無事だとは思うが…
王宮は植物園と凄く近いから――――…ここより対処にパニックになっている可能性は高いな!」
お父様は屋敷の様子を見渡すと…被害の無いことにホッとしていた。
「さて、ローラ…テイスの事もだが、あとのことは頼んだよ…私も王宮へ向かう!被害を確認しないと…メルトもロミ様も心配だ!」
お父様はお母様に屋敷の事と私の事を頼むと執事のジムと王宮に向かった。