❇️片暉の残照❇️
第20章 母のバラ
応接室で手のひらと膝小僧の処置をしてもらうと――――気を落ち着かせるためかポルギさんがお茶を出してくれた。
「あんなに慌てて――――危ないと分かっていてどうしてあの場所に来たのですか?」
「――――お母さんのバラが…気になって」
「テイス…様……」
ポルギさんは私の隣にそっと寄り添うと…ギュッと抱き締めてくれた。
「――――ティアナのバラ……そうですね…///あそこには…彼女のバラがあったんでした……」
「持ち出し厳禁の…王様のバラでしょ?王様……泣いちゃう!」
私は何故か――――そう思い辛くなる。
「そうですね――――レンティス王も気に病んでいることと思います。でも――――テイス様が怪我をされたことの方がよっぽど心を痛めると…思います」