❇️片暉の残照❇️
第1章 王都からの訪問者
私は頭巾を深くかぶりなるべく顔を隠す――――…
母の話は聞きたいが…自分の姿を母以外に見せたことはない私はしり込みしてしまう。
でも――――なぜ、ここに来たのか知りたい。
「あの――――貴方は?」
いまだに素性が分からないと紳士に私は自分から聞くことにする。
「これは失礼した!私はゴルドガ王国の西側、ハジロ領を預からせていただいている、タナオ・ハジロ公爵と申します。
我が家の恩人であるティアナ様を探してここまで来ました。」
「恩人――――ですか?母が?」
私は、お茶を美味しそうに飲むハロジ公爵を見ようと顔を向ける。
と、風でフワリと深々と被っていた頭巾が私の顔をハロジ公爵に曝された。
「キャッ…」
「――――テイス殿…その目…お怪我でも?」
ハジロ公爵は私の顔を見て驚く――――…。
私は慌てて頭巾を頭からかぶり直すと…恐る恐るうなずく。
そう、私は左目に包帯を巻き…深々と頭巾を被っていたのだ…。
母が――――私を誰にも会わせたくない理由の一つ…。
この、左目の包帯――――――――。
「――――あ、はい…幼い頃に…森で怪我をしてしまい……家から出るときは包帯や眼帯をするようにしています」