❇️片暉の残照❇️
第1章 王都からの訪問者
「そうでしたか……それは生活に困りませんか?」
「大丈夫です。お気遣いありがとうございます」
「しかし、生活は…醇風とは行かないのでは?」
ハジロ公爵は私の身なりや体型から、ここの暮らしが幸福だとは思っていないようだ。
確かに――――我が家は常に逼迫している…
常備されているお茶にしたって、裏山で取れたハーブを使った素朴なもので公爵様に出していいものか悩むところでもある。
「――――貧しくしていますが、私一人だけの生活です…、裏の畑とたまに狩るウサギなどで日々…生きていけます」
私は家の裏にある森を指差す。
「ウサギを――――狩る?テイス殿が?」
「はい、母から弓を習っていたので…食べるぶんだけを狩っておりました」