❇️片暉の残照❇️
第22章 香油と裏切り者
「それが――――今度は…子供を巻き込むとは…」
レンティス王は眉間を押さえると椅子に腰掛けため息をついた。
子供たちには自由に恋愛をし幸せな結婚をさせてやりたい…そう、思うが――――王の思惑を裏切るような…王宮役職の大臣達の動きに闇を感じる。
「――――テイスが巻き込まれないといいのだが…」
「テイス様はどなたのリストに名前は有りません」
そう、言うとポルギは心配そうにレンティス王を見た。
「眼帯――――か…髪は隠せなくても…目は隠せて何よりだ……贅沢を言えば、両目で私を見てほしいがな…」
そっと視線を向けた先には薄ピンクの”ティアラ“のバラがあった。
「そう言えば、テイス様が――――ティアラの発生地である私の故郷“アヌイ”に行ってみたいと言っていました」
「“アヌイ”に?」
「ええ――――ティアナ様が見た風景を見るのが夢……なんだそうです」
それを聞いたレンティス王は黄金の瞳を潤ませた。
「///そう…か……バラの生れたて地を見たいと…言うのか……」
レンティス王は、ティアナと過ごした…短かった幸せを思いだし……机に涙を落とした――――。