❇️片暉の残照❇️
第22章 香油と裏切り者
声をかけると、その人はビクッと体を強ばらせ私を見た。
「貴女!――――コレジバ公爵様に所にいたメイドさん!?」
「あっ、あ…ハジロ…公爵令嬢様……」
植物園の前で祈りを捧げていたのは、植物園で泥まみれの私にソッとハンカチを差し出してくれたメイドさんだった。
「どうして――――貴女がここに?」
私は彼女に近寄ると備えた花束と脇にある荷物を見た。
「えっと……」
少し言い難くそうにうつむく彼女の態度に、私はあることを思い出す。
「そうだ――――…私、貴女に渡したいものがあったのよ!このあと時間が有るのなら一緒に屋敷までご足労いただいてもいいかしら?」
彼女の手を取ると私は彼女を屋敷に招待した。