❇️片暉の残照❇️
第22章 香油と裏切り者
「あっ、――――そう言えば…自己紹介もまだでしたね…。
私は、キキ・アルールと申します。コレジバ領の中にある男爵家の次女として……インギル様のメイドとして働いておりました」
彼女は私に自己紹介をすると瞳に涙をためながら…今日実家に帰るのだと言う。
「コレジバ公爵様の落爵を受け、領土縮小の命もおり――――…我が家は新たに領土を承ったルトキ領に統合されたのです。
その事により…私は長く使えていたコレジバ家から解雇されてしまいました」
「――――なんと…東領土が二分しているとは聞きましたが…王都で働いている貴族子にまで影響がでているなんて…」
キロがニコルと目を合わせため息をつく。
「実家に帰られて……それからどうされるの?」
「また、別のお屋敷で雇ってもらえるか交渉します……いきなりの解雇だったので探す暇がなくて」