❇️片暉の残照❇️
第22章 香油と裏切り者
キキはうつむくとギュッと手を膝の上で握る。
そんな姿を見ていたら、何か助けてあげたくなる。
「ねぇ…ニコル…キキが我が家で働くことは出来ないかしら?」
「――――ハジロ邸でございますか?」
お茶のおかわりを準備していたニコルが私に振り返り、キキと私を見比べる。
「///えっ、あ――――っ///そ、そんな…、私は…ハジロ公爵令嬢様にご迷惑をかけた…コ、コレジバ侯爵様の出ですよ?」
「貴女が私に迷惑をかけたわけではないでしょ?それに、男爵家の次女ならどこの屋敷で働いても大丈夫よね?
それとも、領主優先なのかしら?」
領土内での貴族の上下関係や奉公先の決め方がよくわからないから、思いつきだけど…
一回実家に帰ったら、そう簡単にまた王都に出てで働くことは難しいと思った。
それに、彼女の服装からして裕福な男爵家でないことが分かる。
彼女も家計を支える大事な戦力なのだ。