❇️片暉の残照❇️
第4章 お兄様と義理母
「城下町は今度見学するとして――――…貴族門に差し掛かるぞ、いよいよ家族とご対面だ!」
城下町のマーケットを通らずぐるりと貴族門に向かう馬車が心なしかスピードを上げた。
貴族門には王都に入るときの門番とは違い、甲冑を着け大槍を持った兵士が数人立っていた。
厳重に閉ざされた貴族門に馬車が到着すると、御者(ぎょしゃ)の見せる通行許可書と家紋確認で重い門が開いた。
そして、貴族門の中に入った――――…。
「///き…綺麗――――」
貴族門から中は、城下町とは格段に町並みが変わり、広い車道に上品な色使いのマーケットが立ち並び、町全体が花と緑で飾られた贅沢な景色だった。
「///全然…違う――――」
私の生れた家のある、あの裏山も花と緑でいっぱいだったが、計算され考えられた街に置かれた花達は生き生きと自分を存分に表現しているようだった。
見る世界が一気に華やかになる!
「今年は天候もよく花が生き生きとしているな…良かった、良かった」
「凄く……凄く綺麗な国ですね!お父様!」
始めてみる人々の暮らしの明るさに、私は生まれてはじめて世界を感じた。