❇️片暉の残照❇️
第4章 お兄様と義理母
「さあ、もうじき我が家だ」
お父様の声に馬車が大きな屋敷へと曲がった。
「――――ここが?」
「はい、王都の中心部にございます――――ハジロ公爵邸でございます」
ジムが説明してくれたが私は目の前に広がる大きな屋敷に目を奪われる。
「お…大きい――――です」
「私も思うよ、王様から頂いたお屋敷だが…我が一族には広すぎる…」
謙虚なお父様は大きな屋敷を見てため息をつく。
公爵は貴族の中でも王族の次に位の高いと勉強した――――…しかし、王様からから頂いたお屋敷とは、ハジロ公爵は凄い人なのではないだろうか?
「バラの件もそうたが、息子のメルトが王弟のご子息の側近をしているのもあってか…何かと気にかけてくれていてなぁ…」
そうこうしてあるうちに、馬車は屋敷の正面に着き止まった。
使用人を乗せた馬車は止まらず裏手に向かう。
「さぁ、テイス王都の我が家へようこそ!」
馬車の扉が開くと――――…
玄関先にズラリと使用人が整列し我々を待っていた!
その中心には上品なたたずまいのご婦人と男性が立っていた。
「あなた――――お疲れ様」
「父上、長旅お疲れ様でした」
その声はどちらも柔らかく、優しく私の耳に入ってきた。