❇️片暉の残照❇️
第4章 お兄様と義理母
屋敷に着いた時間は夜遅くなってしまったが、屋敷の皆が我々を待っていたらしく…温かく迎えてくれた。
「軽食を準備させましたので、おやすみ前に少しでも暖かいものを胃に入れてはいかがですか?」
王都邸の執事長が我々を部屋に案内しながらお父様に頭を下げる。
「バキエ――――久しぶりだったな、助かるよ…小腹が空いていたところだ。そうそう、こっちでもふかふかなパンが食べられるのかな?」
ジムさんと歳が近そうな王都邸執事長のバキエさんは「もちろんでございます」と、嬉しそうに答えた。
「あなた――――あのパンは本当に美味しくて、婦人会のお茶会でも大好評なのよ」
席に着くと、目の前に暖かいスープとふわふわパンが並べられた。
お母様とお兄様は先に食事を済ませていたらしく、紅茶を飲みながら食卓を囲んだ。
「長旅疲れただろう?今日はゆっくりと休むといい」
食事を終えると、早々に部屋に案内された。
詳しい話は明日――――と、休息を優先してくれたのだ。