❇️片暉の残照❇️
第4章 お兄様と義理母
新しいベッドに緊張はするものの、いつものニコルが準備してれた寝間着を来て――――…素朴なベッドチェアに眼帯を置く。
少し、暗い部屋だが…暗がりに強い左目がカーテンの隙間から差し込む月明かりをとらえる。
数ヶ月前には考えられなかった自分の立ち位置に不安を感じた。
「本当に…いいのかな――――…こんな私が…公爵様の養女なんて…」
少しだけ差し込む月明かりでも…ハッキリと見える。
鏡に映る自分の瞳…物凄い嫌悪感を感じる。
不安と恐れを――――自分が自分に感じるのだ…。
「私は…化け物――――…なのかしら」
両目の色が違う人間を私は…知らない。
山の家を出て、あそこ以外の世界には…私みたいな両目の色が違う人々がいるかも知れないと……
期待をしていたのに――――。
ハジロ領の人々にはもちろん…家畜や野生の動物にも隻眼別色の持ち主はいなかった。
人と違うと言うのがこんなにも恐ろしいことだと…お母さんは知っていたんだ…。
だから――――…隠さないと…いけないって……言っていたんだ。
鏡に映る自分の左目は――――月明かりを取り込み…更に濃く黄金に輝く…。