❇️片暉の残照❇️
第4章 お兄様と義理母
バラ園で出会った商人の青年のような…黄金両目だったら…隠さなくてもよかったのだろうか?
“遺伝子”だから――――と、言っていたが…彼の両親も黄金色の瞳なのだろうか?
彼は自分の瞳に疑問を持ってはいなかった――――と、言うことは…
「原因は――――この別色…ってことなんだろうなぁ…」
『隠しなさい――――…貴女のためよ』
お母さんは…
私が化け物として捕まらないように……してくれていたのかも知れない。
しかし、お父様である公爵様やその奥様――――お兄様に…隠し事をする心苦しさが胸を締め付ける。
「――――お母さんの生きていた世界を見るまで……それまで…お許しください」
私はカーテンから差し込む月明かりを見つめ神に祈った。