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❇️片暉の残照❇️

第1章 王都からの訪問者


バラの話は…母から一度も聞いたことがなかった――――…。


「母は――――…罪人なのですね…」


私は母と自分がなぜこんな辺鄙な場所で生活しているなか納得がいった。


知り合いも親戚もいない理由も――――…。



「いえ!違うのです!」



自分の境遇に納得したが、ハジロ公爵は私の諦めを打ち消すかのように声をあげた!



「その――――王家に献上したバラは…、元々…ティアナ様が作られたバラなのです!
ティアナ様がバラの研究で行き詰まり悩む我が家に…提供してくださったバラなのです!
その証しに――――私どもはそのバラの名を“ティアラ”としました。

王家の皆様もそのネーミングと美しいバラに高い評価をくださいました。そして、我が家は崖っぷちから…バラの公爵と皆に言われ、更なるバラの開発にと領土を多く賜りました。

すべて、ティアナ様のお陰です――――しかし、浮かれていた我々をよそに…ティアナ様がそのバラで罪に問われているなど……気づくのが遅すぎました」



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