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溺れるまでしたい

第1章 浮気心


「今日はどーも。美山アユちゃん?」


放課後。

教室を出て、一階まで降りた時、あたしの名前を呼ぶその声に必然的に足が止まった。

振り返った先に見える人物に思わず息を飲み込む。


「…っ、な、なんです、か?」


目の前で口角を上げて笑っている男は、どう見てもあの男。

梨花先生と身体を共にしていた男。


…傑と言う男だった。


「つーか、なに?その他人行儀みたいな話し方」


フッと鼻で笑った男は何か言いたそうで。


「え、だって。あたしと接点ないですよね?」

「接点ねー…あるよ。見てただろ俺と梨花のセックス」

「ちょ、ちょっと、」


整然と言った男にあたしは思わず辺りを見渡してしまった。


「覗き見?人のセックスに興味あんの?」

「ち、ちがっ、」

「大人しい顔して、実はアユちゃんって相当いやらしんだ」

「や、やめてよ!」

「だって、見てたじゃん」

「あ、あれは…たまたま」

「たまたまなに?」

「いや、だから…」

「そんな溜まってんの?俺、手伝おうか?」

「はっ?」

「もしかしてー、興奮して1人でしてたとか?」

「ちょ、なんなんのっ、?」


フッとまた笑った傑と言う男に、思わず眉が寄る。

薄っすらと茶色に染まった髪をかき乱した傑は何故か面白そうに笑っている。

初めて正面から見るこの男の顔は、あまりにも綺麗で、端正だった。


さすが、この学校で一番と言われて騒がられるくらいの男。


だけど、この男は、昨日、翔先生と抱き合ってた梨花先生とセックスしてた。

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