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溺れるまでしたい

第1章 浮気心


「今日の事は、見なかった事にするので…」

「へー…あんなにガッツリ見てたのに?」

「…ごめんなさい。では…」


その場からすぐにでも離れたいがため、あたしは急いで足を進めた。んだけど、


「なぁ。俺ら、友達になんね?」


その訳が分からない言葉で思わず振り返る。


「はい?な、なんでっ?」

「なんか仲良くなれそう」


また笑った。

その顔が憎たらしいぐらい端正で、余計にムカつく。


「なら、ないと思う」

「あー…あ、人のセックス覗き見してましたって、言いふらしてもいいんだけど」

「ちょ、ちょっと大きな声で言うのやめてよ」

「だって、本当の事じゃねーかよ」

「そ、それに、言いふらしたら自分が恥ずかしい思いするだけだと思うけど」

「別に。してるほうより見てる奴の方がヤバいっしょ」

「そ、そんなことっ、」

「ね、俺と友達になってよ。言われたくなかったらさ」

「わ、わかったから!と、友達になればいいんでしょ?」

「そー言う事」

「じゃ、さよなら!」


慌てて、学校を出た。

なんなのアイツ。

友達になって、どーすんのよ。

むしろ友達ってなに?


何をするの?


あの校内いちの男とあたしが?

ありえない。

ありえないよ。


あたしを、どうする気なの?


慌てて帰ってしまった所為で、ふと思い出してしまった。

家について、そのLINEを見た瞬間に、深いため息をつく。


「アユ、どうした?今日来るんじゃなかったのか?」


翔先生のLINE。

行くはずだったけど…

思わぬアクシデントが…

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