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僕らのStoryline

第5章 もっと もっと

fk side


「どうしたん?」

こうじと久しぶりにラジオを録ってそのままご飯を食べに店に来た。

個室のある店を選ぶようになって、なんなら、店側から
個室にわざわざ通してくれるようになった。

目の前の甘いカクテルを飲みながら他愛のない話をしてたんだけど。

酒の力なのか、俺が話をしたい、聞いてほしい空気を出してしまっていたようだ。

「無理に、とは言わんけど。なんか聞いて欲しいことあったんとちゃう?」

そう。聞いて欲しい。
だけど、どう切り出していいか。
こんな話をするのだって恥ずかしいわけで。

「照にぃ?」

「え?」

クフフと笑いグラスの中身を飲み干してメニューを手に取る。

「照にぃもなんか変よな…フワフワしてるもんな」

ボタンを店員を呼び出して、同じものって注文して。

「避けとるよね?照にぃのこと…」

「避けてるっていうか…なんか…」

「なんか?」

「あれだよ、なんつーか、」

「歯切れわるいなぁ、もう」

ドアがあいて、お待たせしましたーとお酒が届く。

それにまた、口をつけて。

「ケンカしとるわけちゃうやろ?」

「ケンカなんてしないよ」

「じゃあ、なんで避けとるのよ」

避けてるわけじゃない。
ただ、ただ、どうしていいかわかんない。

いつもどうやって照と話してた?

どんな風に照を見てた?

わかんなくなっちゃったんだよ。






あれは、俺の誕生日。

俺はその日に照とSEXした。

初めて。

お互いにビビっててなかなか踏み出せなかったけど、
みんなの力もあってやっと気持ちを伝えあったのが去年の照の誕生日。

それから、約一年。

正直、ケツを差し出すなんて!って思って。
なにか天変地異でも起こって俺が照に…なって思ったりもしたけど、どうみても俺が突っ込まれる側で。

だけど、いざその時になったら。
優しく触れる指に、顎を伝い俺に垂れた汗も、
全部が、すごく善くて。

思ってたよりも、善くて。

なんなら、今までで一番善くて。

初めてなのに、こんなに善くて。

次はきっともっと、善くなる。

だって照だし。あいつ、器用だから。

もっと、善くなったら、俺どうなっちゃうの?

そんなこと思ってたら、どうやって照と接したらいいのか
分かんなくて。


「照にぃ、淋しそうよ」


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