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僕らのStoryline

第2章 同じ朝、もう一度、何度でも



目が覚めた。

時間を確認したらすでに9時を過ぎていた。

もう一眠りしたいような、でも、そうするとせっかくの
休みが潰れてしまうし、なんてことを考えていた。


「…ん、」

剥き出しの肩が少し揺れて。
ふわっと布団が動いたことで優しい香りに包まれた。

隣に眠るこうじの肩に触れる。

そこは布団を被ってなかったからか、少し冷たくなっていた。

昨日もやっぱり無理をさせちゃったから、このままもう少し寝かせてあげよう。

「こうじ」

目にかかる前髪を指ではらい、鼻の頭のほくろにキスをする。

布団をかけ直して、その温もりを感じたくて
俺ももう一度、布団の中へ戻った。



大切な人と迎える朝がこんなにも幸せだなんて。

あの日。

こうじが俺を受け入れてくれた、あの日。

あの日があったから、俺はこんな気持ちを感じることができている。

あの日があったから、俺たちはこの幸せを繰り返すことができている。

最近、思う。

自分の気持ちと行動が伴わないことが増えて。

例えば、仕事で理不尽なことで罵倒されたり。
発した言葉が相手に混乱を与えてしまったり。

それでも、言葉にして、行動に移していってこそ、得られるものが必ずある、と。

そして、それはその時は悔しくて奥歯を噛んだとしても、
何年かたてば、笑い話になることを覚えた。

愛おしくなるほど、勇気がでなくて臆病になる。

だけど、それを乗り越えた俺たちが迎えた朝は、
最高に甘くて、あたたかいから。

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