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僕らのStoryline

第10章 兄貴の恋

『兄貴の好きな人』


「蓮、起きろ」

毎朝、6時半に俺は兄さんに起こされる。

「…ねむっ…」

「早く朝飯にしよう」

俺たちは父さんの顔を覚えてない。

四人で写る写真が一枚だけあってそれに写る父さんしか知らない。

俺が生まれてすぐに事故で死んだらしい。

母さんは俺たちを一生懸命育ててくれて、3年前に病気がみつかり、2年前に死んだ。

でも、俺には兄さんがいるから。

「兄さん、おかわり」

「お前、まだ食うの?」

「うまい」

「そうか!そうか!食え!」

朝飯は兄さんが作る。

夕飯は交代で。
俺は風呂掃除担当。

茶碗のご飯をかきこんで、寝癖を直すためにシャワーを浴びる。
そのついでに風呂掃除をする。

シャワーからでると兄さんはもう制服に着替えてて
耳にピアスをつけてた。

「それ…」

「もらったんだよ、どう?」

オレンジ色のピアスをつけていた。

「誰にもらったの?」

「こうじ」

今年から兄さんと同じクラスになったうるさい関西人だ。

「俺に似合いそうってみつけて買ってくれたんだって」

いい奴だろ、なんて笑って。
確かに似合うけど。

めちゃくちゃ似合うけど。

「似合うよ」

「ありがと。さぁ、行こうぜ」

俺の頭をポンって撫で着替えを促した。

いつも通りの朝。

いつも通りの日常。

「蓮、今日ちょっと遅くなるかも」

「わかった」

それが、少し変わる。

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