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箱……戎壹

第1章 目が覚めたら…


幼い頃から主人は実の兄と比べられながら育ったと言う――――。


優秀な兄は義母の愛を一身に浴び育ち――――…逆に弟である主人は…「兄に及ばぬ出来損ない」と、見向きもされなかったらしい。


しかし、世間体か男のプライドか……主人は義母の言いつけを守り…一度も逆らわなかった。


出来のいい兄と比べられ――――卑屈になってく行く一方で…義母の愛を求め……ひたすら頑張る主人を――――私は支えたかった。


私たちは――――恋に落ち…


誰からも反対されることなく…結婚した――――…。


これから、家業を手伝う主人を支えながら…静かに暮らしていくつもりだったのに…。


突然、義理兄が家を出ていった――――!



「俺は――――母さんの執着に疲れた!こんな家…お前にくれてやる!」


そう言って出ていった義理兄は、消息不明となった。



それから、3年…


風邪の噂で――――どこぞの知らない土地で婿養子となり家名を捨てたと…知らされた。



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