箱……戎壹
第2章 十月十日後の母の手
徐々に――――体力は回復し…それから10カ月後に私の手術は開始された。
取らなくてもいい…子宮の欠片…
それを復元したら…まだ子供は望めるかも――――…なんて、この10カ月の間に何度も思った…。
しかし、主治医は…その欠片は後々…私のからだのなかで悪性へと代わり…悪さをするのだと…
取らなければ…正常な子宮が生きていたのに…
中途半端に取ったがため…悪性へと変化する――――…。
義母の判断を――――呪うしかない…。
なのに――――…
なのに…
あの人は…
「この日が楽しみでしょうがなかったのよ!」
――――?
忘れもしない…この…声――――…
遠くにいても…聞き取ってしまう…恐怖と憎しみの残声――――。
義母…の声である。