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妄想警察

第1章 オタ失格、言語道断の推しシコ

警察まで出てくるなんていくら何でも無茶苦茶にも程がある。いくら警察だからって人の心の中まで介入する権利があるのか。

「妄想の中なら女性に何をしてもいいの!」

ホワイトが声を荒げて机を叩いたのに驚いて色々と考えていたのが一気に吹っ飛んだ。

「キサマのような身勝手で卑劣な男がいるから」

お前からキサマになってブラックとホワイトは交互に浜本哲郎に激しい怒りをぶつける。

妄想の中とはいえ、そこはひとつの世界として存在する。その妄想の世界に誘拐された女のコもそこには存在する。

身勝手な妄想によって都合のいいキャラにされて凌辱された悲しみを考えたことがあるのかと厳しく問い詰める。

その世界では性的暴行の事実は現実であり、そんな世界を作ったせいで彼女たちは浜本哲郎が死んで世界が消えるまでずっとそこに閉じ込められたままだ。

そんな悲しみ、怒り、絶望・・様々な負の感情は現実の世界にも大きな影響を与えるのだと言う。

ブラックは机の上に3つの新聞記事を取り出した。ひとつは地下アイドルが握手会でナイフを隠し持っていた男に襲われて重傷を負った記事、ひとつはアイドルの瞳に映った映像からマンションを突き止めた男が侵入した記事、もうひとつはアイドルが会社が借りているマンションに帰ると待ちぶせしていた男に襲われた記事、この事件では彼女を嫌う他のメンバーが手引きしたんじゃないかという疑惑もあって社会的に大炎上をした。

いずれの事件も被害に遭ったアイドルはケガもさることながら深い心の傷を負ってしまった。

「これらの事件はどうして起きてしまったと思う?」

ブラックが刺すような視線で浜本哲郎を睨む。

「ま、まさか・・」

浜本哲郎は顔面蒼白になってガタガタと震える。

「そうだ、キサマが思ったとおりだ」

今度はホワイトが話を代わる。
浜本哲郎のように事件に遭ったアイドルを妄想の世界に連れ去って凌辱した不埒な男がいた。その悲しみ、怒り、絶望・・様々な負の感情が現実世界にも干渉してマイナスエナジーが溜まって事件を引き起こしたのだ。

「妄想犯罪を犯した男どもにはきっちりと罪を償わせてやったけどね・・」

「もう少し早く捕まえていれば、現実世界でのこんな痛ましいことは防げたかも知れないのに・・」

ブラックもホワイトも残念そうに唇を噛む。

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