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学校の七不思議

第6章 【A】

「あの……この鈴をカレンちゃんに渡したいんですけど……」

「!」


 私が手を広げて鈴を見せると、おばさんの両目がこれでもかというくらい大きく見開いた。


「あの……」

「ありがとうございます……確かにこの鈴はカレンお嬢様の物です」


 そう言われて、私はやっとホッとすることができた。


「あなたがどうやってこの鈴を手に入れたのか……いえ、どうやってカレンお嬢様と知り合ったのか不思議でなりませんが……でもこれで奥様も安心するでしょう」


 おばさんは私から鈴を受け取ると、すぐにドアを閉めようとした。


「待ってください! カレンちゃんはいらっしゃいますか?」


 私はなんだか腑に落ちなかった。
 私がカレンちゃんと知り合ったのが不思議って、一体どういうことなんだろうって。


「……カレンお嬢様はいらっしゃいません」

「いつ帰って来ますか? 帰って来るまで待ってていいですか?」

「……」

「私っ……昨日カレンちゃんにひどいこと言っちゃったんです! だから一言謝りたいんです!」

「……」


 私の必死さが伝わったのか、おばさんは深いため息を吐いた。


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